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2007年7月29日
 ■ 夏だねえ

ハスの花
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ユリとアゲハ蝶
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夏ですが、まだ梅雨明けしておりません。
天体を撮らなくなって約半年。
もう天文屋でなくなりつつあります。

レンズは AF-S(VR) Micro NIkkor 105mm F2.8 ED
カメラはニコンD50改(IRカットフィルター改造のため、カラーバランスが崩れております)
久しぶりにカメラを抱え、今にも雨が降りそうな天候の中、撮影してみたけれども、
ネイチャーフォトも面白いもんですな。鳥屋さんに転向してみるのも悪くはないかも?

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2007年7月25日
 ■ ふざけるな

ドコモの携帯が壊れた。
かなり荒っぽい使い方をしているので壊れたというか壊したようなもの。
さっそくドコモショップで持ち込んで修理依頼をした。
昔から修理は何回も頼んでいるが数千円程度ですんでいたので、
修理代といっても大したことはなかろうとタカをくくっていた。

本日、連絡があって、修理代は何と”五万数千円です”とのこと。
思わず、”ふざけるな!”と言いたかったが我慢した。

ドコモのお姉さんも、これは高いという認識があったようで、
”修理代は高すぎるので止めました。機種変更ならもっとお安くなりますので”

それで、”いくらなの?”、と聞いたら”最新機種で三万数千円”とのこと。

もうね、あぼがど、うましかかと
(こういうAAが2chにはあるが省略)

ヤフオクで白ロムを落としますた。

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2007年7月22日
 ■ やってもうた

家庭用PCの調子が悪いのでCドライブを初期化してOS(WindowsVista)の再インストールをした。

HDDの構成としては、
S-ATA0 : なし
S-ATA1 : 500GB (WindowsXP) Eドライブ
S-ATA2 : 320GB (Data用) Dドライブ
S-ATA3 : 500GB (WindowsVista) → デフォルトブート Cドライブ
最近のマザーボードはどこからでもHDDをブートできる。

Vistaの入った500GBのHDDをフォーマットしたつもりが、XPの入ったドライブをフォーマットしてしまった。
構成もややこしいことで勘違いをしてしまった。
XPの入った500GBには今までの天文データがすべて格納されている。
これが消えたのは痛い。
消えてしまったものはしょうがないとあきらめてもいいのだが、実は半年前にバックアップしたものがある。
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DVD-Rに8枚分のバックアップがある。ノートン・ゴーストのイメージだ。

半年前とはいえ、データの復元ができたらこれに勝るものはない。
3月以降は撮影できていないので、1月2月のデータは撮像用ノートPCにある。
(撮像データだけで、未処理ではあるが)

復元しようとDVD-Rからブートしてもゴーストが動かない。
作成した時のPCは、Pentium4の時代で、シングルCPUであり、現在はCore2DuoでデュアルCPUの
違いだろうとは想像できる。
そこで、仕事用のノートPCのHDDを外して、新しいHDDを買ってきて取り付けて復元作業を行った。
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新しいHDDはそのまま繋げても復元ができないので、一度USB接続用の機器につないで
領域確保とNTFSでフォーマットしてから復元作業を行う。

これでやっとデータの復旧ができたが、この作業で約1日をつぶしてしまった。

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2007年7月18日
 ■ やっと晴れたが

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台風も通過してやっと晴れてくれたが、平日じゃ仕事もあって撮影は無理。
今はとある専門学校でIT関連の講師の仕事(あくまでも臨時、あと2・3ヶ月で終了)をしています。
仕事優先で無理はできません。

今日の夕方の月・金星のデジカメショットであります。

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2007年7月15日
 ■ 久々のグルメ三昧

台風が接近してくる中、越前海岸の某民宿にグルメツアーに行ってきますた。
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ますは、前菜、ウニも乗っかっております。

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続いてお刺身(船盛ではありませんが)

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冷やした茶碗蒸し

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本日のメインディッシュ・その1 若狭牛ステーキ

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本日のメインディッシュ・その2 あわびのバター焼き

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キスのから揚げ

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天ぷら、ここまでくるともうお腹いっぱい。苦しい。

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もう満腹状態なのに、これでもか!ってな感じの肉じゃが。
肉もでかいがジャガイモもでかい。この一皿だけでも十分にお腹いっぱいになる。
苦しくても頑張ってなんとか食べます。

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もう勘弁してくれー、なんだけれども、釜めし

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釜めし、ちゃんとお焦げもあってポイントは外さないが、お腹はレッドゾーン

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最後はメロンと自家製カスタードプリンで締めくくり。
もうお腹いっぱい、ごっつあんですた。

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2007年7月10日
 ■ ミトコンドリアと生きる

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著者:瀬名秀明 太田成男

「ミトコンドリア」とは、真核生物(動物・植物)の細胞内にある小器官であり、生命活動のエネルギー源である
"ATP"を生産する。

1970年代、リン・マーギュリスという生物学者が「細胞内共生説」を発表し話題になった。
ミトコンドリアが細胞核のDNAとは違う、独自のDNAを持ちまた、細胞の分裂周期とは別に
ミトコンドリア独自の分裂・増殖を行うことから、大昔に別の細胞が入り込んで共生したと考えた。
時期的には約16億年前とも言われている。
共生といっても、ミトコンドリアDNAの大部分を細胞核に移し、宿主と切り離せないほど密接に関係し、
また、宿主もミトコンドリアが提供してくれるATPを大いに利用している。
(ATP自体はミトコンドリアがなくても細胞内で生成できるが(解糖系)効率は悪い。)

この考えはかなり反響を呼んだらしく、生物は時間をかけて徐々に進化するというダーウイニズムとは違い
進化論の在り方にも影響を与えたようだが、今現在ではこの考えが広く支持されている。

ミトコンドリアは、やはり「呼吸」、しかも「酸素呼吸」という大きな役割を持っている。
高校の生物学の教科書にも載っていることだが、
まず、細胞質内でブドウ糖が解糖されてピルビン酸に変わる。この時に1ブドウ糖から2つのATPが生成される。
これを解糖系といい、ミトコンドリアは関与しない。
ここからピルビン酸がミトコンドリア内に入ると
ピルビン酸 → アセチルCoA → クエン酸回路 → 二酸化炭素 と反応する。
                        ↓
                        → 水素原子を別に引っこ抜き
                              ↓
                           電子伝達系
                              ↓
                           ここで酸素にぶつけて → 水を生成
                              ↓
                           大量のATP(36-38個)

実際にはもっとややこしくて複雑だが、簡単に書くとこうなる。

酸素を使うところがミソなのだが、30億年前の太古には、シアノバクテリアが光合成を行い酸素を発生
させていた。酸素は酸化作用が強くてそれ自体が生物にとっては毒物なのだが、その強い酸化作用を
逆手にとって積極的に活用して酸素呼吸でエネルギーをとり出している。
酸素を扱う以上、活性酸素の発生がどうしても避けられず、活性酸素が細胞を傷つけ、
老化の原因にもなっている程だ。
そこで、活性酸素の影響を少しでも減らすために、ミトコンドリアはそのDNAの多くを宿主の細胞核に移動した
というのだから、なかなかドラマチックでもある。

余談になるが、ミトコンドリアの研究者にはノーベル賞受賞者が割と多い。
欧米の科学者(生物学者)には、このノーベル賞受賞を目的にする研究者が多い(そうだ)。
実際にノーベル賞受賞のためにミトコンドリアの研究をする学者も多いらしい。
日本ではあまり考えられないが欧米ではそんなものかもしれない。
(ちなみに、古生物学ではノーベル賞の対象にはならない。)

日本だとニュートリノの小柴教授や、島津製作所の田中氏のように、ノーベル賞を目指したわけではないが
研究が認められて受賞したというタイプが多いのだと思う。

たとえは悪いが、天体写真でも、「最優秀」を目指して、そのために努力するタイプと、
応募したら、たまたま「最優秀」になったということの違いと同じなのかもしれない。
日本では、個人的な考えだが後者の割合が多いのではないかと思う。
としたら、国民性のことを考えると、外国の天文雑誌でフォトコンをやると、賞狙いで命を懸ける天文家が
大勢出てきそうだ。

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2007年7月 8日
 ■ 人類の起源と進化

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(画像は本文と関係ありません)

ミトコンドリアDNAの解析により、類人猿(オランウータン、ゴリラ、ヒト、チンパンジー、ボノボ)は
・約1300万年前以前 オランウータンが分岐
・約1300万年前 ゴリラが分岐
・約650万年前  チンパンジーが分岐
・約500万年前  ヒトが分岐
・約230万年前  チンパンジーからボノボが分岐
したとされている。

これにより人類の起源は約500万年前くらいから始まるのであろう。
500万年前というのは諸説あって約600万年前とか約1000万年前とかあるがミトコンドリアDNA
では約500万年前ということになる。
ミトコンドリアは細胞核のDNAとは別に独自のDNAを持っている。
(もともとミトコンドリアDNAは大きかったのだがその大部分を細胞核に移しごくわずかのDNA情報が
ミトコンドリアに残っている)

人類の祖先としてはラミダス猿人が古いのだが2足歩行かどうかは不明である。
間違いなく2足歩行をしていたのは、有名なアウストラロピテクスであり、
化石としては約400万年前のアナメンシス猿人(アウストラロピテクス・アナメンシス)や
約300数十万年前のアファール猿人(アウストラロピテクス・アファレンシス)になる。
初期のアウストラロピテクスは脳容量400CC程度とされる。
アウストラロピテクスはこの後、2系統に分かれる。
一つは、エチオピクス、ロブストゥス、ボイセイの頑丈タイプのアウストラロピテクスで、約100万年前
あたりまで生息していたらしい。
もう一つはアファール猿人も含め、アフリカヌス、ガルヒの系統で華奢なタイプであり、
これが人類・ホモ属につながる系統と考えられている。

アウストラロピテクスはあくまでも類人猿でありホモ属ではない。
華奢な系統から進化したと考えられる最古のホモ属はアフリカで出現したらしい。
約250万年前、エチオピアのいわゆるオルドバイ峡谷で石器が発見されている。
このころのホモ属はいくつかあり、ホモ・ハビリス(脳容量700CC程度)、ホモ・ルドルフェンシス
(脳容量800CC程度)、ホモ・エルガステル(脳容量850CC程度)の3つに集約される。
ホモ・エルガステルでは「トルカナ・ボ−イ」が有名であり、現生人類にかなり似ている。

このころ、約300−200万年前はかなり混沌としており、アウストラロピテクスの系統や
初期のホモ属(しかも数種類)が混在していて、同時期に複数が共存していたのだという。
初期のホモ属ではエルガステルが一番進化というか人類に近く、この系統が現生人類
(ホモ・サピエンス)につながるとされる。

エルガステルはアフリカを出てアジアにわたり、ジャワ原人や北京原人(ホモ・エレクトス)
に進化したようだが、これは現生人類にはつながらない。

アフリカに残ったエルガステルの系統が約60万年前のハイデルベルゲンシスに進化したようで
ここからネアンデルターレンシス(ネアンデルタール人)とサピエンスに分岐したようだ。

ネアンデルタール人は現生人類と非常に似ているが、前頭葉の発達が弱く知性が劣っていたとされる。
言葉もしゃべれたとかしゃべれないとか、しゃべれたとしても不明瞭だったとかされている。
ミトコンドリアDNAの解析ではネアンデルターレンシスとサピエンスは別系統であり、
ネアンデルターレンシスは人類進化上の側枝であり絶滅した。

たびたび出てくるミトコンドリアDNAであるが、これは母系遺伝しかしないという性質があり、
現生人類・サピエンスは約14万年前のアフリカ起源であるという結果が出ている。
(これをミトコンドリア・イブというが、人類の祖先は約14万年前のミトコンドリア・イブ一人ではない)
現生人類はアフリカ起源で現在にいたる。

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2007年7月 7日
 ■ 最新恐竜学

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著者:平山廉

中生代といえば恐竜。
恐竜についての科学的な解説がしてあるが予備知識がなくても読みやすいと思う。
著者はカメの専門家であって恐竜の専門家ではないが、カメの中生代の化石を研究するうち、
同じ時代の同じ爬虫類であることもあってこの本を書いたらしい。

恐竜といっても一般的に知られているイメージは、キリンのように首を長くあげているようなイメージがあると思うが
実際にはあのような格好ではない。
首から尾までほぼ水平であり、尾は決して地面に付くことはないし、首もまっすぐでぐにゃりと曲がることはない。

私も知らなかったのだが、古生代は哺乳類型爬虫類(矛盾したような名前だが)が陸上生物の全盛期だった。
格好は大型トカゲみたいな感じで恐竜にも見えないこともないが、これは恐竜ではない。
哺乳類の祖先であって爬虫類ではない。
哺乳類は単弓類、爬虫類・鳥類は双弓類である。
違いは、頭骨の眼窩の後方に穴(側頭窓)が1つ(単弓類)か2つ(双弓類)かで分類される。
人間も含む哺乳類は単弓類であり、現生の単弓類は哺乳類しかない。

古生代末期にはこの哺乳類型爬虫類の全盛期であったが、中生代(三畳紀、ジュラ紀、白亜紀)の三畳紀
には衰退する。その代わりに、爬虫類の恐竜がとって変わるように勢力を伸ばすが、三畳紀の恐竜は地上を
支配するまでにはいっていない。
ジュラ紀になると恐竜の全盛期を迎え、白亜紀まで続く。

恐竜の分類としては大まかに以下に分類される。

A.鳥盤目(骨盤の形状は鳥型、草食恐竜)
  鳥脚類(イグアノドン、ハドロサウルス等)
  周飾頭類 
    角竜類(トリケラトプス等
    パキケファロサウルス等
  装盾類(ステゴサウルス等)
  (といった感じで、外見がごてごてしたり頭がでかくて角があったりする)

B.竜盤目(骨盤の形状がトカゲ型、鳥類もトカゲ型で鳥盤目とは違うのだ)
  竜脚類(草食で大型のものが一般的な恐竜であろう)
     ブラキオサウルス、ディプロドクス、マメンチサウルスといった大型のものが多く
     外見は飾りはなくシンプルである
  獣脚類(肉食恐竜)
     アロサウルス類、ティラノサウルス類といった、肉食恐竜の典型的なもの
     マニラプトル類(オビラプトル類、ドロマエオサウルス類とった半分鳥みたいなもの)
     鳥類(始祖鳥、より鳥に近い近縁のもの、新鳥類)

著者はこのように分類して、特に鳥類は獣脚類に括っていて恐竜の中の一派としている。
さらに、マニラプトル類も脳の大きさや羽毛があることなどから鳥類として扱ってもいいと主張して
恐竜の中でも特殊な扱いとしている。

著者は中生代カメの研究で当時の環境面がどうだったかということも考察している。
大気中の二酸化炭素濃度が現在よりも非常に高く(約18倍)気温は高温で陸上は乾燥した砂漠地帯
も多かったとしている。平均気温は約30度以上、低緯度地域は暑いが今と変わらない程度で、特に極地の
気温が高かったのではないかとしている。
カメは卵から孵化するときの気温で性別が決まり、カメの化石分布でもある程度の気温の目安がつくらしい。

中生代はほぼ気温の高い時代が長く続き、今から約9000万年前の白亜紀中期が一番気温が高く
その後気温が徐々に低下するが中生代末でも今よりも世界の平均気温は10度以上も高かったいう。
この気温が高い時代が長く続いたために、体温は(外的要因で)高く保てて爬虫類であっても活動しやすく
大型化することができたとしている。
哺乳類は中生代にもいたがネズミ程度の大きさで大きくなれなかった。高温環境では哺乳類はその真価を
発揮できず、気温が低下した第三紀(氷河時代も含む)で進化多様化が進んだのだという。

恐竜の絶滅は中生代・白亜紀末期であるが、1980年代、隕石の衝突説がにわかに脚光を浴びた。
著者は、隕石衝突が実際にはあったのだろうと認めてはいるが、これが主因ではないとし、環境変化を
あげている。中生代にはそれまでの裸子植物から被子植物が台頭してくる。植生の変化、
大気中の二酸化炭素濃度の低下(植物だけではなく、海生生物の消費もある)に伴い気温の低下
で徐々に衰退していった。恐竜の種・属数も白亜紀中期を頂点にどんどん数が減ってきている。
海生のアンモナイトにしても、白亜紀中期から種・属数が恐竜と同じくどんどん減ってきているし
白亜紀末期には、ニッポニーテスのようにいびつにとぐろを巻くような変種?まで出現し隕石衝突がなくても
恐竜やアンモナイトは滅びる運命にあったのだろうとしている。

この本はなかなか面白くて何回も読み返している。一度読んだだけでは内容が完全に理解できない。
繰り返し読むことで内容も理解でき、知識もどんどん深まる。

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2007年7月 6日
 ■ カンブリア紀の怪物たち

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著者:サイモン・コンウエイ・モリス

ハリー・ウイッチントン教授の秘蔵っ子、サイモン・コンウエイ・モリスの著書である。
前回紹介したグールドの「ワンダフル・ライフ」に比較して非常に読みやすい。
内容も簡潔にかつ要領よくまとまっていて、予備知識もなしに読めると思う。

研究者本人の著書だけあって、非常に説得力がある。
グールドの「ワンダフル・ライフ」もこの著書の中で紹介されているが、この本を冗長であるとしてけなしている。
グールドの意見としては、カンブリア紀に生物の多様性は頂点を極めたとしているが、この意見に真っ向から
反発している。
節足動物だけに限定すると(バージェス頁岩には節足動物以外のものも多いが)
1.単肢類(昆虫とかムカデ等)
2.鋏角類(クモやさそり等)
3.甲殻類(エビ・カニ等)
4.三葉虫類(これは絶滅したが)
この4つの分類のどれかに属していて多様性は現在とあまり変わらないとしている。

この著書の中でも、ハルキゲニアやアノマロカリスの正体を突き止める過程のことも記述はされているが
実にあっさりと要点のみ書かれているだけで、この点に関してはマニアにとっては面白くない。

1990年代だから、今から15年程前であろうか、NHKのスペシャル番組があった。
「地球46億年生命のはるかな・・・」のようなタイトルの番組でカンブリア紀の生物を取り上げていた。
この番組を食い入るように見ていたのだが、アノマロカリスの発見の過程を紹介したり、
NHK技術陣が開発した動くアノマロカリス模型をイギリスまで運んで研究者の前で実際に動かしていた。
この研究者とは、ハリー・ウイッチントン教授、デレク・ブリッグス、サイモン・コンウエイ・モリスの3人である。
この三人衆は同一研究室のメンバーではあるが、日本の大学とは違って実際には個人プレーで研究し
三人が一同に会することは極めてまれなはずである。
NHKも相当金をかけてイギリスまで行ったはずであるからこの三人衆がTVとはいえ一緒に写っている映像を
見て非常に感激した覚えがある。

TVではリモコン電動で動くアノマロカリス模型をプールに浮かべて泳がしたり、モーターを逆回転して
後ろ向きに泳がせたりして例の研究者たちも喜んでいた。
さらにアノマロカリスの口も精巧に再現させてあり、三葉虫の発泡スチロール模型を齧らせて、かじった形状が
実際の化石とそっくりだとハリー・ウイッチントン教授も感心していたのを覚えている。

ただし、この時はアノマロカリスは海中を泳ぐと考えられていたのだが、その後の研究では
泳ぐのではなく、海底を這って歩いていたのではないかという説が有力になっているらしい。

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2007年7月 5日
 ■ ワンダフル・ライフ

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著者:スティーブン・J・グールド

古生代カンブリア紀で爆発的に生物が進化・多様化した。
中でも有名な化石産地として、カナダ・ロッキー山脈の山中から発掘されたバージェス頁岩が挙げられる。
1900年代初頭、アメリカ人の古生物学者、チャールズ・ウオルコットが発掘し、数万点にも及ぶ化石が
スミソニアン博物館に運ばれたが、本格的な研究はあまりされなかった。

1970年代初頭から、イギリス・ケンブリッジ大学のハリー・ウイッチントン教授がこのバージェス頁岩の
本格的な調査に乗り出す。ハリー・ウイッチントン教授はマーレラ、ヨホイアの研究に着手し、この本の
表紙にもあるオパビニアを発表して多くの学者に笑われた。
何しろ目玉が5つ、頭部にある触手でえさを取り口に運ぶ、この奇妙な生物が常識はずれであったこともあるが
カンブリア紀の奇妙な生物を世に知らしめる機会でもあった。

この教授もいろいろ忙しく、本格的に研究に励んでくれる若い大学院生を2人70年代半ば頃に採用した。
アイルランド人のデレク・ブリッグスとイギリス人のサイモン・コンウエイ・モリスである。
教授と2人の大学院生がこの後、バージェス頁岩を本格的に調査しカンブリア紀の生物を暴き出すことになる。

こういったことを、この本はいろいろエピソードを交えながら紹介している。
著者のスティーブン・J・グールドは、アメリカの有名な古生物学者でイギリスの教授やその門下生とも深い交流
があった。
研究そのものはイギリスの教授やその門下生が専門的に行い、その研究結果をもとに、著者はその意味を考察した。
つまり、生物は進化の初期に多様性が一番大きく、結果として生き残れるかどうかは運命しだいであるという、
いわゆる「がらくた箱理論」を展開する。

とまあ、まとめると、こんな感じの内容ではあるが、ハッキリ言って読みにくい。
だらだらと冗長な感じで書かれているので要点がわかりにくいのもある。
しかし、中にはイギリス人の研究の途中の様子やアノマロカリスの正体を暴き出す過程などは読みごたえがある。

アノマロカリスは、1800年代に化石が発見され、ファイティーブスによって「奇妙なエビ」という意味の
アノマロカリスという名前が付けられた。
アノマロカリスはエビのような触角部分だけの化石でそういった名前が付けられたのだが、別にペイトイアという
丸いクラゲみたいな化石との関連性は見いだされずに約100年が経過した。
デレク・ブリッグスは、アノマロカリスの研究に取り掛かっていたのだが、ハリー・ウイッチントン教授は
アノマロカリスの化石を解剖して、ペイトイアという化石は実はアノマロカリスの口であったことを暴き出す。
そうしてアノマロカリスの正体がかなり明らかになってくるのだが、このあたりの記述は読んでいても面白い。

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2007年7月 4日
 ■ 全地球凍結

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本は京極夏彦とかも読むが、サイエンスものも結構好き。
今回は、「全地球凍結」を紹介する。

内容的には、原生代の終盤(末期ではない)、約7億年前に地球全体が氷に覆われた時代があった
のではないかという説を紹介した本である。
約7億年前には氷河期があったこと自体は世界中の地質学者も認めているし、その証拠もある。
しかし、地球全体が氷漬けであったとする説は主流ではないし反対意見も多い。

著者は、様々な意見があるにしても「全地球凍結」があったと仮定すると非常にスマートに過去の
出来事が説明できるとしている。
その根拠として、その時代の氷河堆積物(モレーン)を産出する場所は、アフリカ、オーストラリア、
北ヨーロッパ等とあちこちあるが、
当時の場所は低緯度地域(赤道付近)で起こっていることを挙げている。
つまり赤道付近で氷河があったということは、赤道まで氷に覆われていたはずという単純明快な
理論である。
この説を補強するためにいろいろ学術的な裏付けを紹介している。
そのひとつとして、氷河堆積物の地層の真上に石灰岩が堆積しており(キャップカーボネイトという)、
氷河時代のすぐ後に、温かい時代がやってきて海に沈み石灰岩を沈殿させた。
石灰岩が大きく堆積するには温かい海の底が条件がよい。

それから、縞状鉄鋼床の存在も挙げている。
縞状鉄鋼床とは、はるか大昔、約30億年−17・18億年前にシアノバクテリアが光合成をおこない酸素を放出したことから海水中の鉄イオンが酸素と結び付いて沈殿した鉄鉱石の層である。
17・18億年前には縞状鉄鋼床の形成は終わったはずなのだが、
突如、例外として約7億年前にも出現している。
これを説明する合理的な解釈が、全地球が氷に覆われて光合成ができなくなり氷床下の海水が
酸欠状態に陥ったからとしている。
その後の温暖化した環境で光合成が再開されて縞状鉄鋼床が形成されたというもの。

なかなか明快な理論ではあるが、反論として、一度全地球が氷に覆われてしまうとアルベド効果
のこともあり氷が融けることはないという意見である。
これには、二酸化炭素の濃度が上昇すること、海底のメタンハイドレートが溶け出すことのどちらか、
あるいは両者で温室効果をもたらして気温の上昇は考えつくとしている。
そのために重要になってくるのが先ほどのキャップカーボネイトがカギとなる。
放射性炭素の同位体比や、メタンハイドレートが溶け出したと思われる石灰岩中のガスエスケープ構造を根拠に著者は反論している。
実際にメタンハイドレートが溶け出した現象は実在し、新生代第三紀に起こったことが
確認されており、約七億年前でも十分に起こりうる現象だとしている。
地球温暖化の大きな原因として二酸化炭素の濃度上昇は現在の社会問題ともなっているが、
その昔、恐竜のいた中生代は、今よりも18倍程度の二酸化炭素濃度があり、世界平均気温も約30度
以上という熱い時代があったのだ。地質年代によって、二酸化炭素濃度は大きく変動する。
約七億年前にも様々な要因で二酸化炭素濃度が大きく変動する要素は十分にある。

この事件の後、原生代末期ベンド紀には多細胞生物群が発生する。
エディアカラ生物群と呼ばれる。
このエディアカラ生物群は現生の生物とは似ても似つかないために、
ドイツの古生物学者、アドルフ・ザイラッハーは、ベンドビオンタ(ベンド紀の生物)と名付けた。
その後、古生代・カンブリア紀に入ると爆発的に生物が進化し多様化するがこれはまた別の機会に。

他にもいろいろ興味あることが満載されており、紹介しきれないくらいだ。
サイエンスものも結構面白い。

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2007年7月 3日
 ■ 最初に覚えたCCD

hana.jpg
(↑この画像と本文は無関係)

最初にCCDという言葉を覚えたのはもう25年位前になる。
その時のCCDとは Charge-Coupled Devices ではなく、
Carbonate Compensation Depth の CCDであった。

これは地質学の講義で出てきた言葉で、もちろん地質学の試験にも出たのを覚えている。
記述式の試験で、次の語句を説明せよ(CCD、 アルベド、、、ETC)というのがあった。

天文学での試験なら Charge-Coupled Devices として記述すべきなのだろうが
(utoさんはパーフェクトな解答を記述するだろうけど)
地質学ではCharge-Coupled Devicesを書くとXになる。

当時、どんな内容を記述したのか忘れたが、
Carbonate Compensation Depth とは、日本語では炭酸カルシウム補償深度という語句になる。
通常、炭酸カルシウム(CaCO3)は海水には溶けない。
溶けないからこそ、外骨格に炭酸カルシウムを使う生物(貝類、サンゴ、浮遊性有孔虫等)が生存でき、
その結果、サンゴ礁や石灰岩が形成される。
しかし、ある程度の深海になると、溶けないはずの炭酸カルシウムが海水に溶けてしまう。
この溶け出す水深の深さを CCD (Carbonate Compensation Depth)という。
この深度は地域によって異なるが、3000-4000m位の深海である。

これによって何がわかるかというと、地質調査で堆積岩の由来を浅海の堆積なのか深海での堆積なのかを特定できるのだ。
浅海では炭酸塩岩で、おもに方解石(calcitel)やアラゴナイト(aragonite)などCaCO3からなる。
カルシウムCaがマグネシウムMgに置換されたものはドロマイトと呼ばれる。
一方、深海の堆積では炭酸カルシウム分は溶けてなくなるために、主成分は石英SiO2となり、
チャートと呼ばれる。石英の由来は海綿骨針、放散虫殻とも言われている。

ついでに、アルベドについて
一般的には地表面が太陽の光を反射する割合のことで、反射率という。
天文学では惑星のアルベド(反射率)でその違いがうんたらとなるが、
地質学では氷河の発達とからめないといけない。
地表(海面でもいいが)が雪や氷に覆われて白くなるとアルベドが高くなり
太陽エネルギーを反射してしまう。その結果、地表の温度が上がらずに氷が解けない。
そのため、気温が低下し、ますます雪や氷が拡大していく。
これをアルベド効果という。
これが氷河期の氷河を拡大する要因でもある。

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