2007年7月 6日
著者:サイモン・コンウエイ・モリス
ハリー・ウイッチントン教授の秘蔵っ子、サイモン・コンウエイ・モリスの著書である。
前回紹介したグールドの「ワンダフル・ライフ」に比較して非常に読みやすい。
内容も簡潔にかつ要領よくまとまっていて、予備知識もなしに読めると思う。
研究者本人の著書だけあって、非常に説得力がある。
グールドの「ワンダフル・ライフ」もこの著書の中で紹介されているが、この本を冗長であるとしてけなしている。
グールドの意見としては、カンブリア紀に生物の多様性は頂点を極めたとしているが、この意見に真っ向から
反発している。
節足動物だけに限定すると(バージェス頁岩には節足動物以外のものも多いが)
1.単肢類(昆虫とかムカデ等)
2.鋏角類(クモやさそり等)
3.甲殻類(エビ・カニ等)
4.三葉虫類(これは絶滅したが)
この4つの分類のどれかに属していて多様性は現在とあまり変わらないとしている。
この著書の中でも、ハルキゲニアやアノマロカリスの正体を突き止める過程のことも記述はされているが
実にあっさりと要点のみ書かれているだけで、この点に関してはマニアにとっては面白くない。
1990年代だから、今から15年程前であろうか、NHKのスペシャル番組があった。
「地球46億年生命のはるかな・・・」のようなタイトルの番組でカンブリア紀の生物を取り上げていた。
この番組を食い入るように見ていたのだが、アノマロカリスの発見の過程を紹介したり、
NHK技術陣が開発した動くアノマロカリス模型をイギリスまで運んで研究者の前で実際に動かしていた。
この研究者とは、ハリー・ウイッチントン教授、デレク・ブリッグス、サイモン・コンウエイ・モリスの3人である。
この三人衆は同一研究室のメンバーではあるが、日本の大学とは違って実際には個人プレーで研究し
三人が一同に会することは極めてまれなはずである。
NHKも相当金をかけてイギリスまで行ったはずであるからこの三人衆がTVとはいえ一緒に写っている映像を
見て非常に感激した覚えがある。
TVではリモコン電動で動くアノマロカリス模型をプールに浮かべて泳がしたり、モーターを逆回転して
後ろ向きに泳がせたりして例の研究者たちも喜んでいた。
さらにアノマロカリスの口も精巧に再現させてあり、三葉虫の発泡スチロール模型を齧らせて、かじった形状が
実際の化石とそっくりだとハリー・ウイッチントン教授も感心していたのを覚えている。
ただし、この時はアノマロカリスは海中を泳ぐと考えられていたのだが、その後の研究では
泳ぐのではなく、海底を這って歩いていたのではないかという説が有力になっているらしい。
投稿者 pikachu7500 : 2007年7月 6日 22:00
コメント
NHKのこの番組を見たのがきっかけで、カンブリア紀の生命のはちゃめちゃな姿に笑い転げ・感動したのを覚えています。ここまで個性的な連中は深海まで行かないと現世ではお目にかかれねいですね。ご紹介頂いた本はどちらも読んだことが無いので今度本屋に行ったら捜してみます。やっぱり海がない星では生物の多様な進化は難しいのでしょうかね。変なのが一杯いて、競争し合って進化とさらなる多様化が起こるいう一般測はどの惑星系でも当てはまると思うのですが。知的生命体は、やはり人間型なのでしょうかね?
投稿者 YASU : 2007年7月 7日 16:17
YASUさん、こんばんは。
紹介した書籍はそれほど古いものでもないので探せばあると思います。
あのNHKの番組をご覧になっていたのですね。
最近はあまりTVをみないのですが、昔のNHKは質の高い番組が結構ありました。
太陽系内では地球以外には生物はいないような気がしてますが、太陽系以外ではどうなんでしょうね。
生命がいるのはいるのでしょうけど、知的生命体はなかなか難しいでしょう。
知的生命体がいればいいのですけどね。
人間だってホモ族は約300万年前に、現生人類(サピエンス)は数十万年前、ガリレオにしても400年前ですから科学の発達はそれほど時間はかかりませんから。
投稿者 ここの管理人 : 2007年7月 7日 20:46