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2007年7月 4日

 ■ 全地球凍結

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本は京極夏彦とかも読むが、サイエンスものも結構好き。
今回は、「全地球凍結」を紹介する。

内容的には、原生代の終盤(末期ではない)、約7億年前に地球全体が氷に覆われた時代があった
のではないかという説を紹介した本である。
約7億年前には氷河期があったこと自体は世界中の地質学者も認めているし、その証拠もある。
しかし、地球全体が氷漬けであったとする説は主流ではないし反対意見も多い。

著者は、様々な意見があるにしても「全地球凍結」があったと仮定すると非常にスマートに過去の
出来事が説明できるとしている。
その根拠として、その時代の氷河堆積物(モレーン)を産出する場所は、アフリカ、オーストラリア、
北ヨーロッパ等とあちこちあるが、
当時の場所は低緯度地域(赤道付近)で起こっていることを挙げている。
つまり赤道付近で氷河があったということは、赤道まで氷に覆われていたはずという単純明快な
理論である。
この説を補強するためにいろいろ学術的な裏付けを紹介している。
そのひとつとして、氷河堆積物の地層の真上に石灰岩が堆積しており(キャップカーボネイトという)、
氷河時代のすぐ後に、温かい時代がやってきて海に沈み石灰岩を沈殿させた。
石灰岩が大きく堆積するには温かい海の底が条件がよい。

それから、縞状鉄鋼床の存在も挙げている。
縞状鉄鋼床とは、はるか大昔、約30億年−17・18億年前にシアノバクテリアが光合成をおこない酸素を放出したことから海水中の鉄イオンが酸素と結び付いて沈殿した鉄鉱石の層である。
17・18億年前には縞状鉄鋼床の形成は終わったはずなのだが、
突如、例外として約7億年前にも出現している。
これを説明する合理的な解釈が、全地球が氷に覆われて光合成ができなくなり氷床下の海水が
酸欠状態に陥ったからとしている。
その後の温暖化した環境で光合成が再開されて縞状鉄鋼床が形成されたというもの。

なかなか明快な理論ではあるが、反論として、一度全地球が氷に覆われてしまうとアルベド効果
のこともあり氷が融けることはないという意見である。
これには、二酸化炭素の濃度が上昇すること、海底のメタンハイドレートが溶け出すことのどちらか、
あるいは両者で温室効果をもたらして気温の上昇は考えつくとしている。
そのために重要になってくるのが先ほどのキャップカーボネイトがカギとなる。
放射性炭素の同位体比や、メタンハイドレートが溶け出したと思われる石灰岩中のガスエスケープ構造を根拠に著者は反論している。
実際にメタンハイドレートが溶け出した現象は実在し、新生代第三紀に起こったことが
確認されており、約七億年前でも十分に起こりうる現象だとしている。
地球温暖化の大きな原因として二酸化炭素の濃度上昇は現在の社会問題ともなっているが、
その昔、恐竜のいた中生代は、今よりも18倍程度の二酸化炭素濃度があり、世界平均気温も約30度
以上という熱い時代があったのだ。地質年代によって、二酸化炭素濃度は大きく変動する。
約七億年前にも様々な要因で二酸化炭素濃度が大きく変動する要素は十分にある。

この事件の後、原生代末期ベンド紀には多細胞生物群が発生する。
エディアカラ生物群と呼ばれる。
このエディアカラ生物群は現生の生物とは似ても似つかないために、
ドイツの古生物学者、アドルフ・ザイラッハーは、ベンドビオンタ(ベンド紀の生物)と名付けた。
その後、古生代・カンブリア紀に入ると爆発的に生物が進化し多様化するがこれはまた別の機会に。

他にもいろいろ興味あることが満載されており、紹介しきれないくらいだ。
サイエンスものも結構面白い。

投稿者 pikachu7500 : 2007年7月 4日 21:00

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