老人になって思うのは、感動しなくなることだ。
美味いものを食べても、旅行に行っても
その場限りでは美味しいと思うし、
見慣れぬ景色はきれいだと思う。
ただ、何度も経験してきていると、
そういったものに慣れてしまって
感動の度合いが低くなってしまうのだ。
だから生きていく張り合いがなくなるし、
無常というか虚無感に付きまとわれる感じがする。
18歳の時一人で初の長野方面へツーリングに出かけたが、
その時が一番強烈でものすごく感動した。
一人で走っていく風景がやけに素晴らしく、
あれ以上のものは感じていない。
これも18歳だったか、白山の室堂で見た
M31アンドロメダ銀河、肉眼そのままで
綺麗に画像処理されたような銀河が広がってそのまま見えた。
宇宙空間をそのまま見ている感じがしてすげーと感動した。
肉眼ではあれ以上のものを見たことがない。
物を買うにしても、若い時は苦労してためたお金で
欲しい物を買おうと計画するが、すぐにポンと買えるわけでもなく、
バイトなど長い年月をかけながら、デザインはあれがいいか、
スペックはこれがいいか、毎日カタログの隅から隅まで目を通して
実際に購入するまでの楽しさもあったし、
買った後も毎日いじったり眺めたり、愛着を持って臨んでいたはず。
今は銀行口座の通帳残高を見るまでもなく、
あの値段なら買えるな、と簡単に考えてしまう。
(それ自体は悪いことではないのだけれども)
今では何を見ても何をしても感動することが少なくなった。
もはや生きる屍みたいなものでしかない。
コメントする