親ガチャ(4)

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貧乏な家に生まれるとお金の面で苦労する。

当時は親ガチャという言葉はなかったが、
おいらが親ガチャを意識したのは高校に入った時であった。

中学の頃は得意な科目は理科と数学だけで他はダメだった。
親は低学歴だったが、なぜかこの2科目はバリバリにできたのが不思議だ。
高校受験では得意科目を生かせると思って、地元の県立高校の理数科を受験した。
(理数科は1クラスのみ、卒業まで全員同じ顔ぶれだ)
そこには合格して喜んで高校に行ったのだが、そこはとんでもない所だった。

そこには県内の頭脳の半分が集中していた。
(半分というのは、当時は学区制により居住地で行ける高校が制限されていた)
入学後にクラスの名簿が配布されたのだが、そこには親の職業という欄もあった。
会社役員、医師、公務員、団体職員、会社員(これが一番多かったけど)とあって、
農業と書いたのはおいらただ一人、他は良家のご子息たちばかりだったのだ。
後に、東大、京大、阪大などの上位校や医学部などへ進学していった連中だ。
奴らは天才だ、おいらなんか凡人レベルで奴らの足元にも及ばない。
掃き溜めに鶴の逆バージョン、鶴ばかりのところに掃き溜め=おいらがただ一人だった。

とんでもない所というのは、アタリの親ガチャしかいない所であったということだ。
そんな中に、ハズレの親ガチャを引いたおいらが1人だけ混じっていたので
場違いというか、身分が違うというか絶望的な違和感を感じていた。
ここは来るべきところではない、と悩んだわけではなかったが、
どうしようもない親ガチャの無常さというものをまざまざと見せつけられた。

貧乏な家だったので、親は毎月の学費だけは出してくれたが、小遣いなし。
中学までなら小遣いなくても問題なかったが、高校になるとそうもいかない。
担任の先生に奨学金を受けたいと申し出て当時の日本育英会の奨学金を受けた。
もちろんクラス内で奨学金を受けたのはおいらただ一人。
他の連中の小遣い事情は全く知らないが、おそらく不自由はしていなかったはず。

そして高3、時代は共通一次試験が始まっていた。
国立大学は1度しか受験のチャンスがない。
貧乏人にとっては、私立大学は受験する意味がないので選択肢にはない。
他の連中は、落ちたら浪人して都会の予備校に行き、次年度に再度受験する。
しかしおいらには浪人という選択肢もなかった。

担任の先生に公務員試験を受けたいと申し出て、
高卒を対象とする国家公務員初級職ではあったが受験して合格した。
こうして逃げ道を作っておき、受験に失敗したら覚悟の上でそのまま就職する。
もちろん公務員試験を受けたのはクラス内でおいらただ一人であった。
結局大学には合格したので公務員試験は受けるだけ無駄にはなったけど、
当時はこれでも必死だったのだ。
親は全く役に立たないので、自分ひとりで必死に足掻いていたのだ。

まあ貧乏というものは、子供の頃から色々苦労するんだよなあ、
今も貧乏体質は変わっていないけど。

貧乏話、その1。
高校入学時、身長は140cm台で、一番背が低くガリガリにやせていた。
そのため制服は一番小さいサイズだった。
その後背がぐんぐん伸び始めたが、最初はわからなかった。
制服がどんどん小さくなり、パツンパツンになってきたが、
やせていたので袖と裾が短いだけで済んでいた。
新しい制服を買ってくれと言えば買ってくれたかもしれないが
貧乏性だから我慢してそのまま小さい制服を着ていた。
それを見かねた同級生がお下がりだけど、そいつの古い制服を譲ってくれた。
そいつには感謝しかないが、あまりにも自分の不甲斐なさに泣いてしまったよ。
その制服は卒業まで大事に着ていた。

貧乏話、その2。
毎年、健康診断があったが、いつも貧血と栄養失調で保健室から指導を受けていた。
当時、魚は多少食べていたが肉は全く食べていなかった(食卓に肉が出なかっただけ)。
おそらく、碌なものは食べていなかったと思う。
今は寿司(回るタイプ)でも肉でもがんがん食べるし、
昔の食生活は今となっては信じられないが。

どうでもいい話。
公務員試験は最終面接(論文提出もあったが)まで行った。
県内には最終面接会場がなく、とある中核都市まで電車で行った、一人で。
大都市で場所がわからず制服姿でうろうろしていたら補導員に捕まった。
目的を伝え受験票を見せ、ついでに会場の場所を教えてもらって解放された。

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このページは、ピカチュウが2022年9月28日 08:00に書いたブログ記事です。

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