Stack時のNormalization

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Normalization とは正規化と訳す。
Stack時に数十枚の画像を選別するための評価を行い、
評価の高いものから重みづけを行うことを指す。

手順としては、
1.ダーク/フラット補正/Hot&CoolPixel除去/Blooming除去
2.Register(画像アライメントのこと)
 位置合わせは複数の星を自動選択してアライメント
 補間処理は、ニアレストネイバー他
3.Normalization <--- ここ
4.Data Reject
 STD Sigma Reject
5.Combine
 Mean(加算平均)
6.Save

CCDStackでの Normalization は、
 Scalar(slope):露出時間と空の透明度を調整
 Offset(Intercept):背景レベルに合わせて調整
 Both:ScalarとOffsetの両方
の3種類から選択できるが、画像処理の場合は当然 Both を選択する。
ここがStack時の一番重要な肝の部分である。
ステライメージはこの部分の説明がない(と思っている、間違いだったらすみません)

この時に、1枚ごとの画像評価を行い、結果を表示してくれる。
それが下の画像だ。(右端のWeight列)
このWeight=重み付けにより、良い画像を多く評価し、悪い画像を少なく評価し反映する。
だから悪そうな画像でも使い道が少しはあるので、捨てずに一緒に処理する。
20211124_1.png

この中で、一番評価の低い画像が下の画像で、STD Sigma Reject すると全体が真っ赤になる。
赤い部分はRejectしたピクセルだ。この画像ではわかりにくいが、全体が赤い。
20211124_2.png

この中で、一番評価の高い画像が下の画像で、STD Sigma Reject すると、
赤い部分は衛星?が通過した斜めの軌跡にしかかかっていない。
20211124_3.png

Normalizationの後で、Data Rejectを行う。
画像の評価後に、ピクセルを選別するわけだが、
画像枚数が多い場合は、STD Sigma Reject を選択し、適切な条件を指定する
RGB画像のように枚数が少ない場合は、Poisson Sigma Rejectを選択してもよいが、
RGBでも10枚や12枚は撮影するので、STD Sigma Rejectでやっている。
STD Sigma Rejectというのは、標準偏差により極端にいいものと悪いものを排除する手法だ。

撮影時に、DitherGuideを行っているので、欠陥画素の排除もある程度はしてくれる。

ステライメージではなく、しつこくCCDStackを使っているのは、
・処理の過程で1枚1枚の状態を見ながら確認できること
(これができるのが良い、画像はパラパラ漫画みたいに切り替えられる)
・処理そのものが、はっきりと定義してあって明確であること
正直、ステライメージは何をやっているのかが不明確。

その点 PixInsight は異質で、提供する機能は豊富で、使いたい機能を好きに使え、
ただし、何をどう処理するのかが明確になっていないと使いこなせない。

これまでは、理屈を後回しで画像処理の手順のみでやってきたが、
n2068ddさんのお陰で(色々ありがとうございます)、
やっと画像処理の理屈も概ね理解はできたような気がする。
そろそろ PixInsightの攻略にかかりたいところではある。

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コメント(2)

綺麗にフラットが合っていてうらやましいです。
私の場合、妙なムラが現れて単純に修正できない現象が解決しません。

確かに、ピックスインサイトのノーマライズは、種類が多いです。合成用に6種類あるし、ピクセル除外のアルゴリズムに4種類あるので、途方に暮れてしまいます。説明はあるので、それに従いますが、それに従わないと酷い結果が出ることも珍しく無いです。

ピックスインサイには、「ダイナミックレンジを加算する」あるいは「ダイナミックレンジをスケーリングする」ように動作しているように見えます。

いちおう「クリップローレンジ」と「クリップハイレンジ」というボタンは用意されてはいますが、内部でどのように処理しているのかは、どこかに書いてあると思いますが、私には分からないです。

量子化された画像には常にシャノンの定理がつきまとうので、ダイナミックレンジをスケーリングするときには、16ビットの元データは、32ビット以上で再サンプリングしないと、再現できなくなるはずです。それで32ビットフローティングポイントがデフォルトのサンプル方法となっています。ドリズルをする場合は64ビットの再サンプルが選択肢が現れます。

天体写真の場合、多数の枚数を使い、それぞれ適度にバラついた画像を合成するので、拡張されたダイナミックレンジの補間エラーは枚数が多くなるほど薄れ、ポスタリゼーションの少ない階調再現が期待できます。

それもあってか、ピックスインサイトのフラット製作時のデフォルトは、「ノーマライズしない」になってますね。

n2068dd さん、コメントありがとうございます。

フラットが合うと、本当に気持ちがいいです。
多少古いとはいえ、流石タカハシの設計だと思っています。

ノーマライズもなかなか奥が深いです。
理論を掘り下げていくと、演算精度を高く要求するのも理解できます。

CCDStackは割と単純で分かりやすいです。
PIのように柔軟さがあり過ぎるとかえって迷うことになるのも良いのか悪いのかよくわからなくなってきますね。

マスターフラット作成時、CCDStackでは説明はないのですが、背景のみの「ノーマライズ」(がいいのかなと思って)やってます。単なる感覚で理論がついてきてません。まだまだ勉強不足です。

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このページは、ピカチュウが2021年11月24日 08:00に書いたブログ記事です。

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